F君の場合

最初に彼の興味があるものが把握できなかったので、家庭教師を派遣するという名目で大学生を派遣。ところが勉強どころではなく、大学生をつれ回し、ファストフード店に行ったり、本屋につき合わされた。
そこで、清水が考えた提案は、家庭教師の高校の先生という設定で、三人で合うことにした。清水自身、本人が会う事に拒否反応を起こすと思ったが、無事に合う事ができた。

清水が驚いたのは、今まで会った中で最も過保護にされた子供で、一切清水の話を聞かず、14歳の子供と思えなかった。
そこで、清水はF君が得意なゴルフを教えてほしい、という設定で打ちっぱなしゴルフに連れて行き、彼にゴルフを習い、誘い文句として、オーストラリアへゴルフをやりに観光に行かないかと誘ったところ、本人が乗ってきた。
オーストラリアに行く二日前に清水が先に行き、現地にて、彼のカウンセラーと細かい打ち合わせをして出迎える事にした。


その際家庭教師も同行させた。彼を出迎えると同時に滞在先であるアパートメントに連れて行き、現地在住の同年代の子供達を紹介し、交流をさせる目的で滞在予定の5日間、彼らと同行させることを納得させた。
滞在期間中、映画を見に行ったり、高校見学、メインのゴルフもやり、現地を気に入ってもらう事に邁進した。
しかし、彼はあくまで観光でゴルフをやりにきたつもりで、5日間で帰国するつもりでいた。従って清水も国際電話で親に一度帰国させ、改めて学生ビザで留学させる事を伝えた。


そうしたらどうしても帰国させる事に同意することができない。母親の考えだと、元の木阿弥で二度とオーストラリアに留学する事はないと判断したと推察される。
そこで帰国当日、彼にオーストラリアに残るように伝えたところ、F君がパニックになり、「なぜ、ゴルフをやりに観光にきたのに、なんで残らなければいけないのか」と言った。それは当然の話だが、現地のカウンセラーの協力のもと、F君を本意ではないが無理矢理残した。


清水が帰国後、F君は日々日本へどうやって帰るか画策。現地カウンセラーの協力のもと、英語学校へとりあえず短期で入学させたが、学校側が本人の言動に疑問を持ち、現地の精神カウンセラーに行く事を薦め。
本人はどうにか帰国するために、毎日学校に行きながらも、放課後、精神科に通院。
清水は現地校及び精神科の先生と毎日のように連絡し、彼を現地に滞在させるよう親に代わり依頼。



どうにか現地クリニックに通いながら学校に通うが、ある日、突然領事館に駆け込み、帰国を領事に依頼。そこで清水が領事に理由を説明し、どうにか帰国させず、現地に残させるよう母親に代わり嘆願。

F君は日本帰国を断念した同時期に現地の語学学校でガールフレンドが出来た事や英会話が多少通じるようになった等の複数の理由で現地の高校に進学する事を決意。
現在高校三年生で勉強に励んでおり、日本の大学に進学する事を目標としている。

オーストラリアに行った後、2度日本に帰国したが無事にオーストラリアに戻っている。
国内カウンセリング期間:6ヶ月

2018年10月19日